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DV加害者が探偵を「武器」にする危険——嘘の依頼、逃げた被害者の追跡、そして探偵の責任

DV加害者が探偵を「武器」にする危険——嘘の依頼、逃げた被害者の追跡、そして探偵の責任
DV加害者が探偵を「武器」にする危険——嘘の依頼、逃げた被害者の追跡、そして探偵の責任

このページをお読みになっている方の中には、今まさにDVの被害を受けていて、どこに相談すればよいか分からずにいる方もいらっしゃるかもしれません。あるいは、身近な人がDVを受けているのではないかと心配されている方もいらっしゃるでしょう。また、探偵という仕事がDVの問題とどのように関わっているのか、純粋に知りたいと思っていらっしゃる方もいるかもしれません。

DVは、「夫婦喧嘩」でも「家庭内のこと」でもありません。放置すれば必ずエスカレートし、最悪の場合、命が奪われる犯罪です。そのことを、まずしっかりとお伝えしたいと思います。

日本では、3日に1人ほどのペースで夫が妻の殺人(未遂・既遂)で検挙されているというデータがあります。配偶者間で起きる殺人・傷害・暴行事件の約9割で、女性が被害者となっています。これは統計上の数字ですが、その一件一件に、現実の人生があります。

以下では、現役の探偵として私が現場で目の当たりにしてきた実態——DV加害者がいかに探偵を「道具」として利用しようとするか、そして私たち探偵がどのようにそれを見抜き、断固として拒絶しなければならないか——をありのままにお伝えします。そして最後に、この問題を象徴する二つの実際の事件について触れます。

目次

DV加害者が「探偵を利用する」という危険

私がこの仕事を続けてきた中で、何度か「しまった」と思う瞬間があった。依頼を受け、調査を進め、途中で初めて「これはDV加害者による被害者の追跡だった」と気づく——そういう案件が、残念ながら存在する。

探偵が依頼を受ける際に陥りやすい罠の一つが「ストーカー幇助」だ。単純な人探しのつもりで引き受けた依頼が、蓋を開けてみれば逃げた被害者を加害者に引き渡す行為だったという事態は、決して架空のシナリオではない。

1999年に起きた桶川ストーカー殺人事件では、加害者側の犯行グループに興信所が加担していたことが明らかになった。女子大学生が元交際相手を中心とする犯人グループから嫌がらせを受け続けた末、駅前で殺害されたこの事件は、社会に大きな衝撃を与え、翌2000年にストーカー規制法が制定されるきっかけともなった。探偵業界は、その歴史的な教訓を絶対に忘れてはならない。


どのようにして嘘の探偵依頼が持ち込まれるか——典型的な三つの手口

手口①「妻と連絡が取れない。心配しているだけです」

DV加害者が探偵を「武器」にする危険——どのようにして嘘の探偵依頼が持ち込まれるか

最もよくある手口がこれだ。依頼者はIT企業勤務の30代男性。落ち着いた口調で語る。「単身赴任中で、東京に住む妻と急に連絡が取れなくなった。事件に巻き込まれたのではないかと心配で」。

違和感はあった。妻が引っ越し先を夫に伝えていない。普通の夫婦なら考えにくい状況だ。しかし「妻の安全確認」という依頼は、表向きは真っ当に聞こえる。私は調査を引き受けてしまった。

調査を進めると、妻が軽トラックで家具を運び出しているのを目撃した。自転車で移動する妻を追跡した先は、入り口に受付のある、ひっそりとしたマンションだった。その場でスマートフォンで検索すると——そこはDV被害者のためのシェルターだった。

妻が夫に居場所を教えなかったのは当然だった。妻は夫からの暴力を逃れるために姿を消していたのだ。「心配している夫」とは、妻が命がけで逃げた相手だった。私はその場で調査を打ち切り、依頼者に事実を伝えることなく調査結果を「報告不能」とした。あのとき調査を受けたことを、今も悔いている。

手口②「別れた彼女に大切なものを預けたままで」

「別れた彼女に返してほしいものがある。居場所だけ教えてほしい」という依頼もある。しかし「元交際相手の現住所を知りたい」という依頼は、それだけで慎重な精査が必要だ。何を返してほしいのか、なぜ直接連絡しないのか、なぜ相手は連絡を絶っているのか——これらを深掘りしていくと、相手が着信拒否・ブロックをしており、依頼者への恐怖から連絡を断っているという実態が見えてくることがある。

あるケースで、私は途中で依頼を断ったことがある。依頼者は表面上は穏やかだったが、「その子が今どこにいるかだけ分かればいい」という言葉を何度も繰り返していた。「だけ」という言葉の裏にある執着を、私は感じ取った。「理由を教えていただけますか」と掘り下げるほど、話に矛盾が出てきた。この依頼は断った。

手口③「子どもの親権のために妻の生活を調べたい」

離婚係争中に「妻が子どもを連れ去り、居場所を教えない。親権を争うために妻の生活実態を調べたい」という依頼が来ることがある。これは一見すると正当な調査依頼に見える。

しかしその背景に、離婚の引き金となったDVが潜んでいるケースがある。妻が子どもを連れて逃げた理由が、夫からの暴力や恐怖である場合、「親権調査」の名目で居場所を突き止めようとする行為は、事実上の追跡・ストーキングになりうる。「なぜ妻は居場所を教えないのか」という一点を、私たちは常に疑わなければならない。


探偵業法と倫理——私たちが果たすべき義務

探偵業法第6条は明確に定めている。探偵業者は「人の生命・身体・財産の保護に反する」調査を行ってはならない、と。DV加害者の依頼を受けて逃げた被害者の居場所を突き止める行為は、この規定に正面から抵触する。違反した場合、営業停止・廃業命令の対象となりうる。

さらに、ストーカー規制法においても、探偵がストーカー行為の幇助・助長に加担した場合、共犯として刑事責任を問われる可能性がある。法律だけの話ではない。被害者が逃げた先を加害者に伝えた探偵は、その後に何が起きたとしても、道義的責任から逃れることはできない。


依頼者が嘘をついていた場合——探偵が取るべき行動

依頼の実態がDV加害者による被害者追跡だと判明した場合、私たちが取るべき行動は明確だ。

まず、調査の即時停止。調査はすべて中断し、収集した情報は依頼者に一切渡さない。次に、依頼者への事実確認と契約解除。依頼内容と実態の乖離を依頼者に告げ、業務委託契約を解除する。虚偽の依頼に基づく着手金の扱いは弁護士の判断を仰ぐが、返金しないことが多い。

そして最も重要なのが、被害者への配慮だ。調査で得た情報——居場所、行動パターン、シェルターの名称——は、如何なる形でも外部に流出させない。依頼者がDV加害者であり、被害者への危害が差し迫っていると判断される状況では、警察や支援機関への情報提供を検討することも、探偵としての責任のあり方だと私は考えている。


依頼を受ける前に——私たちが実践するヒアリングの要点

DV加害者が探偵を「武器」にする危険——依頼を受ける前に

DV加害者の依頼を見抜くために、当事務所が実践しているヒアリングのポイントをお伝えする。

「調査結果をどのように使うか」を繰り返し確認する。単純な人探しであっても、「その情報を得た後、具体的にどう行動するつもりか」を何度も確認する。曖昧な回答が繰り返される場合は要注意だ。

相手が連絡を絶っている理由を深く掘り下げる。「突然連絡が取れなくなった」という訴えの裏側に、相手が意図的に姿を隠した事情がないかを探る。引っ越し先を告げていない、着信拒否している、離婚届が提出されているといった状況は、相手が「逃げている」ことを示すサインだ。

言動・態度から執着の深さを読む。相手への異常な執着、感情的な浮き沈み、「どうしても今すぐ知りたい」という切迫感。こうした言動は、依頼の背景に支配欲・強迫的感情があることを示唆する。高額な報酬をちらつかせてくる場合も、同様に警戒が必要だ。

探偵業法に基づく目的確認書を書面で取得する。依頼の目的が違法でない旨を書面で確認する。虚偽の署名があった場合、依頼者側の法的責任は明確になる。


DV被害者の方へ——探偵は、本来あなたを守る側にいます

このコラムをお読みになっているDV被害者の方に、直接お伝えしたいことがあります。

シェルターへ逃げた後に「相手が探偵を使って探しているかもしれない」と感じたら、すぐに支援機関へご相談ください。住民票・戸籍の閲覧制限(DV等支援措置)を申請することで、行政窓口からの情報漏洩を防ぐことができます。職場や学校についても、支援団体と連携して秘匿措置を講じることが可能です。

そして、探偵は本来、あなたの側に立つ存在です。DV被害の証拠収集、資産調査、行動記録——これらの調査は、保護命令の申し立て、離婚手続き、慰謝料請求のための「法的な武器」を整えるために機能します。

「逃げたい」「証拠を残したい」「でも怖くて一人では動けない」——そう感じていらっしゃるなら、まずご相談ください。あなたの話を、真剣に聞きます。

→ DVの種類別・探偵による証拠収集と対策について詳しくはこちら DV(家庭内暴力)調査・証拠収集|夫婦・恋人間の暴力から身を守るために


探偵が守るべき対象は誰か——四つの事件に潜む危機

ここで、この問題を考える上で決して忘れてはならない実際の事件を取り上げたい。

まず、探偵が一切関与していないにもかかわらず、加害者が自力で被害者を追い詰め、命を奪った二つの事件から始める。そのうえで、探偵が加担してしまった事例へと話を進める。なぜこの順序かというと、「探偵がいなくても被害者は追い詰められる——それでも探偵が加担すれば、さらに確実に命が奪われる」という現実を、段階的に理解してほしいからだ。

DV加害者が探偵を「武器」にする危険——四つの事件に潜む危機

【自力追跡・事件A】2010年2月10日、宮城県石巻市——実家に押し入り、姉と友人を刺殺

2010年2月10日、宮城県石巻市清水町の民家で発生したこの事件では、元交際相手の少年・千葉祐太郎(当時18歳)が、かつて交際していた少女の実家に押し入り、少女の姉(当時20歳)と少女の元同級生の女子高生(当時18歳)の2人を包丁で刺殺し、さらにもう1人を重傷を負わせた。

少女は千葉から度重なる暴力を受けており、宮城県警や家族に何度も相談していた。少女は娘とともに実家に身を寄せ、破局後も「つきまとわれている」と警察に相談していたが、仕返しを恐れて被害届を出せずにいた。

居場所を「隠した」のではなく、実家という誰もが知る場所に逃げるしかなかった。それが被害者の限界だった。事件前日の夜、復縁を迫った千葉は少女の実家に押しかけたが、姉が警察に通報してその日は引き下がった。警察は少女を署に同行させ、翌10日に診断書と被害届を提出させる予定だった。

被害届を出す「前日の夜」に事件が起きた。少女が行動を起こそうとした、まさにその瞬間だった。翌朝、千葉は凶器を準備して再び実家へ向かい、「全員ぶっ殺す」と叫びながら姉の腹部を刺し、命乞いして逃げようとした友人の胸を何度も刺して2人を殺害した。

千葉は犯行当時、実母に対する暴行で保護観察中だった。法的な監視下にあってもなお、暴力は止まらなかった。千葉は裁判員裁判で死刑判決を受け、控訴・上告も棄却されて2016年に死刑が確定した。裁判員制度が導入されて以降、初の少年死刑囚となった。


【自力追跡・事件B】2019年11月、高知市——DVを警察に相談していた妻が、夫に追跡されホテルで殺害

2019年、高知市内のホテルで妻・土居彩乃さんが夫・土居巧容疑者(当時21歳)に殺害されたこの事件では、2人は同年5月から名古屋市内で同居していたが、彩乃さんは8月に「夫から暴力を受けた」として実家のある高知に戻っていた。

彩乃さんはすでに地元警察に相談しており、相談を受けた警察署は彩乃さんに防犯指導をした上で連絡先を確認していた。名古屋と高知という遠距離があり、警察にも相談済みだった。にもかかわらず、夫は高知まで追ってきた。彩乃さんはホテルで夫と接触し、そこで命を奪われた。

「警察に相談した」「遠く離れた実家に戻った」「物理的な距離があった」——それでも加害者は追ってくる。DV加害者にとって、距離は障壁にならない。被害者との接点——共通の知人、家族の連絡先、かつて住んでいた場所の手がかり——そういった断片を手繰り寄せ、執念で居場所を特定しようとする。

DV支援の専門団体が「夫の追跡が予測されるので、妻や子どもへの執着が強い場合などは実家には戻らないこと」と明確に警告しているのは、こうした現実があるからだ。


これら二つの事件には、探偵は一切関わっていない。加害者は自力で、あるいは被害者との関係性の残滓を手がかりに、居場所を突き止めた。

ここで改めて問いたい。もし、こうした加害者が「探偵」という手段を持ったとしたら、どうなるか。

自力ですら追い詰められる。探偵が加担すれば、より確実に、より迅速に、被害者は追い詰められる。だからこそ、探偵が依頼の真意を見抜く義務は、単なるビジネス上の注意ではなく、被害者の命に直接関わる責任なのだ。続く二つの事件は、その責任が果たされなかったとき、何が起きるかを示している。

【事件1】2006年12月21日、徳島県吉野川市——保護命令発令中の殺人

この事件は、日本のDV対策史において一つの転換点となった。DV防止法が施行されて5年後の2006年、保護命令を受けていた夫が別居中の妻を殺害したこの「吉野川市DV殺人事件」は、保護命令発令中の殺人としては全国で初めてとされる。

事件が起きたのは2006年12月21日のことだ。

逮捕された徳島市国府町芝原の自営業・木村輝彦容疑者(当時41歳)は、DV防止法による保護命令(接近禁止命令)を無視して妻を殺害した。

裁判記録によると、夫は仕事を持つ妻に対して自身の事業を手伝い、家事や育児も完璧にするように「命令」していた という。仕事・家事・育児のすべてを「完璧に」こなすよう強要し、それができなければ暴力を振るう——典型的な支配型DVの構図だ。子どもへの暴力も繰り返されていた。

妻はついに公営シェルターへ逃げ込み、保護命令を申し立てた。家庭裁判所への離婚調停も始まり、やがてシェルターを出て新しい住まいへ移った。仕事を再開し、子どもたちも学校へ通い始めた。ようやく、安全な新生活が動き出していたのだ。

しかし夫は諦めなかった。

加害者は非常に執念深いというのが特徴で、妻と子どもが逃げた先を必死になって探し、探偵社を雇った。探偵社によって妻の居場所が突き止められた。夫は子どもたちが帰宅するタイミングを見計らい、自宅に侵入。帰宅した妻を子どもたちの目の前で刃物で刺殺した。

「DV防止法」により接近禁止命令が出ていた夫が探偵を使い、隠れていた妻の居場所を突き止めたあげくに殺害したものです。

法律も、保護命令も、シェルターも——すべてをかいくぐって、男は妻を殺した。そしてその「居場所を突き止める」という行為に、探偵が加担していたのである。

この凶行はDV被害女性の支援者や援助機関に衝撃を与えた。関係者からは「保護命令の申し立ては、もともと相手を刺激するなどの理由で少なく、事件で一層ちゅうちょさせることにもなりかねない。安心できる環境づくりが急務だ」と、遅れている被害者の支援態勢の整備を求める声が上がった。

DV被害者が逃げ出してシェルターやその他の支援施設等にいる場合に、その所在情報を加害者に伝えないことが極めて重要であり、命の危険に直結する情報セキュリティの問題である。

この事件以降、DV支援の現場では「探偵を使った被害者追跡」への警戒が強まることになった。しかし残念ながら、悪質な依頼を見抜けない探偵事務所は今も存在する。


【事件2】2008年、岡山市——執行猶予中に繰り返された、より凶暴な暴力

2008年に岡山市で起きた事件では、妻が電話に出なかったことに腹を立てた夫が、両手両足を縛って金属バットで殴るなどしてDVの傷害容疑で逮捕され、懲役2年・執行猶予4年の判決を受けていた。その執行猶予中に、夫は再び妻に暴行を加え、外傷性ショックで妻を死亡させた。

この事件には、DVがいかに「再犯」と結びつきやすいかが凝縮されている。

「妻が電話に出なかった」——ただそれだけの理由で、夫は妻の両手両足を縛り、金属バットで繰り返し殴打した。その行為がすでに一度、刑事事件として裁かれていた。裁判所は懲役2年・執行猶予4年という判決を下し、社会復帰の機会を与えた。

しかし夫の行動は変わらなかった。執行猶予という「最後の機会」を得てもなお、妻への暴力は続き、そして今度は妻の命を奪った。外傷性ショックによる死亡——金属バットで執拗に殴打され続けた人間の体が、限界を超えた末に止まったのだ。

この事件が示すことは明白だ。DVは「一度きりの過ち」ではない。「反省した」「もう二度としない」という言葉は、DV加害者の常套句であり、その言葉を信じて留まった被害者が再び暴力にさらされるケースは枚挙にいとまがない。「逃げること」「距離を置くこと」「証拠を持って法的手続きを進めること」——被害者にとっての唯一の出口は、そこにしかない。


結びに——探偵の役割と、忘れてはならない現実

DV加害者が探偵を「武器」にする危険——探偵の役割と、忘れてはならない現実
DV加害者が探偵を「武器」にする危険——探偵の役割と、忘れてはならない現実

四つの事件を読んで、何を感じていただけただろうか。

探偵が関与した事件では、探偵は「騙された」のかもしれない。依頼者が嘘をついた。「心配している夫」を装い、居場所を突き止めることだけを目的として、探偵事務所の扉を叩いた。探偵側に殺意があったわけではない。

しかしその結果、妻は死んだ。子どもたちはその目の前で、母親を失った。

「騙された」という事実は、探偵の道義的責任を消してはくれない。依頼の真意を見抜けなかった、あるいは見抜こうとしなかった——そのことが、一人の命に直結したのだ。

探偵が関与していない二つの事件も、同じことを別の角度から教えている。加害者は自力でも追い詰めることができる。だからこそ、探偵という「追跡のプロ」が加担したとき、その危険性は格段に高まる。私たちが持つ調査能力は、使い方次第で被害者の命を守る盾にもなれば、命を奪う刃にもなる。

DV被害者が逃げ出してシェルターやその他の支援施設等にいる場合に、その所在情報を加害者に伝えないことが極めて重要であり、まさしく命の危険に直結する情報セキュリティの問題だ。

私たち探偵が守るべき対象は、依頼者ではない。調査結果が誰かの命を奪う道具になってはならない——その一線を守ることが、この仕事に携わる者すべての義務だ。

探偵業法第6条が「人の生命・身体・財産の保護に反する調査を行ってはならない」と定めているのは、単なる条文上の規制ではない。あの日、吉野川市で起きたことへの、業界全体への問いかけだと私は受け止めている。

依頼の背後に何があるのかを問い続けること。「心配している夫」の言葉の裏を読むこと。そして必要であれば、依頼を断ること。それが私たちにできる、最も重要な「調査」かもしれない。

DV被害に苦しんでいる方、逃げたいと思っている方——どうか一人で抱え込まないでください。私たちは、あなたを守る側にいます。

よくあるご質問(FAQ)

「妻(夫・交際相手)と連絡が取れなくなった」という理由で、居場所調査を依頼できますか?

その依頼は、お受けできない場合があります。「連絡が取れなくなった」という状況の背景には、相手が意図的に姿を隠している——つまり、依頼者からの暴力や支配を逃れるために行動している——可能性があります。当事務所では、すべての人探し・所在調査の依頼に対して、依頼の目的・経緯・相手との関係性について徹底的にヒアリングを行います。調査の結果が相手の生命・身体の安全を脅かすと判断される場合、探偵業法第6条に基づき、依頼をお断りする義務があります。「心配しているだけ」という言葉の裏に何があるのか、私たちは常に問い続けています。

DV加害者から「妻の居場所を調べてほしい」という依頼が来た場合、探偵はどう対応するのですか?

当事務所では、依頼者がDV加害者であると判明した時点で、調査を即時停止し、依頼契約を解除します。収集した情報は依頼者に一切渡しません。探偵業法は「人の生命・身体・財産の保護に反する調査」を明確に禁じており、違反した場合は営業停止・廃業命令の対象となります。さらにストーカー規制法上、加害者の追跡行為を幇助した探偵は共犯として刑事責任を問われる可能性があります。法律の問題だけではありません。居場所情報が加害者の手に渡ったとき、その先に何が起きるかを、私たちは常に想定して行動しています。

依頼者が嘘をついて調査を依頼してきた場合、探偵に法的責任はありますか?

依頼者が虚偽の目的を告げて調査を依頼した場合、刑事・民事上の責任は原則として依頼者側に生じます。探偵業法は、依頼者から調査目的が違法でない旨を書面で確認することを義務付けており、虚偽の申告があった場合、依頼者はその責任を負います。ただし「騙されたから探偵は無関係」とはなりません。依頼の真意を見抜けなかった点における道義的責任は残ります。だからこそ当事務所は、書面での目的確認に加え、徹底したヒアリングと状況分析を事前に行い、調査の実施可否を慎重に判断しています。

シェルターへ逃げた後、「夫が探偵を使って探しているかもしれない」と感じたらどうすればいいですか?

速やかに、以下の対応を取ることをお勧めします。まず、避難先の支援担当者・シェルターのスタッフに状況を伝えてください。次に、住民票・戸籍の閲覧制限(DV等支援措置)を市区町村窓口に申請し、行政経由での住所漏洩を防ぎます。職場・学校についても、支援団体と連携して情報の秘匿措置を講じることが可能です。SNSのアカウント・位置情報サービス・友人知人への連絡経路も見直してください。探偵が加担しているかどうかに関わらず、加害者は被害者との接点を手がかりに居場所を特定しようとします。一人で抱え込まず、支援機関と連携して対応することが最も重要です。

DV被害の証拠を集めたいのですが、逃げる前に探偵に依頼することはできますか?

はい、できます。むしろ、まだ同居している段階での証拠収集は、法的手続きを進める上で非常に重要です。保護命令の申し立て・離婚調停・慰謝料請求・親権確保——これらすべてに、客観的な証拠が力を持ちます。当事務所では、被害者の安全を最優先にしながら、加害者に気づかれない形での証拠収集を行います。「逃げてから相談しよう」と思われる方も多いですが、逃げた後では収集できない証拠もあります。「いつか離れたい」「今すぐではないが準備したい」という段階のご相談も、ぜひ早めにお寄せください。

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