身勝手な夫の裏の顔―親の前でさらした浮気の証拠｜探偵 福岡

向井亮子さん（仮名・32歳）が探偵事務所を訪れたのは、長年溜め込んできた苦しみがついに限界を迎えた瞬間だった。結婚して8年、夫・オサムさん（仮名・36歳）の浮気を疑うことは一度や二度ではなかった。
最初は些細な変化だった。仕事が忙しいといいながら帰宅時間が遅くなり、スマートフォンを決して手放さなくなった。以前は家に置きっぱなしだった電話も、トイレや風呂場まで持ち込むようになり、少しでも見る隙を与えまいとしているようだった。

それでも、亮子さんは見て見ぬふりをしてきた。子供も小学生に進学し、夫婦二人だけの問題ではないことを考え、家庭を守るために目をつむっていたのだ。だが、オサムさんの言動は日に日にエスカレートしていった。急に週末も「仕事だ」と言って外出し、家庭のことにはほとんど関わらなくなった。
それだけでなく、亮子さんへの態度も冷たく、暴言を吐くことが増え、時には「離婚しろ」と繰り返すようになった。家事の些細なミスを指摘し、さらには彼女の実家の親を侮辱する発言まで飛び出すようになった時、亮子さんはついに行動を起こす決意を固めた。

探偵事務所を訪ねた日のことは今でも鮮明に覚えている。亮子さんは気持ちを落ち着けて探偵事務所のドアを開けたが、その顔には疲労が滲んでいた。彼女は声を震わせながら、自分が感じている夫の変化、そして自分自身の限界について語った。「もう、どうしたらいいかわからないんです。子供もいるし、簡単に離婚なんてできない。でも、これ以上彼の言葉に耐えられないんです」と彼女は言った。探偵として、私たちは話を静かに聞きながら、彼女に必要なサポートを提供する準備を進めた。

調査を依頼するまでの経緯は複雑だったが、実際の調査が進むと、浮気の事実はすぐに明らかになった。オサムさんは職場の同僚、坂井美咲（仮名・29歳）と親密な関係にあり、福岡市内で頻繁に会っていた。美咲さんは両親と福岡県春日市で実家暮らしで、表向きは真面目に見えたが、オサムさんとは仕事終わりに博多駅のKITTE 博多２階のカフェで待ち合わせ、食事やショッピングを楽しみ、さらにはホテルに入る姿まで確認された。探偵が撮影した証拠写真には、決定的な瞬間が収められており、これにより法的に不貞行為が証明されることとなった。

浮気調査の報告書を手にした亮子さんは、最初こそ言葉を失ったものの、すぐに冷静さを取り戻し、オサムさんと対峙する覚悟を固めた。しかし、これまで何度も彼に言いくるめられ、話し合いで自分の意見を通すことができなかった過去が脳裏をよぎった。そこで、亮子さんは糸島市に暮らす両親に同席を依頼することを決めた。両親の支えがあれば、彼女も堂々と夫に対峙できるだろうと考えたのだ。

「そこまで言うなら、これを見てください」と、娘の様子を見た亮子さんの父親は、探偵が収集した浮気の証拠をオサムさんの両親に示した。ホテルでの密会の写真、それにまつわるメッセージ――どれも逃れられない証拠だった。
オサムさんはその瞬間、言葉を失い、沈黙が場を支配した。オサムさんの両親は驚いた顔で息子を見つめ、亮子さんと両親に深々と頭を下げて謝罪した。「本当に申し訳ありません」と誠意を示す彼らの姿に対し、オサムさんはただ軽く頭を下げるだけで、反省の色が見えなかった。

この時、亮子さんはすでに自分の心の中で答えを出していた。夫がこれまで一度も真剣に向き合ってこなかったことが、こうして明らかになった以上、もはや修復は難しいだろう。だが、子供の存在が彼女を迷わせた。子供にとって最善の選択は何か。離婚がもたらす影響と、その後の生活――それを考えると、簡単に決断できるものではなかった。

探偵として、私たちは依頼者に証拠を提供し、彼らが前に進むためのサポートを行うのが仕事だ。だが、こうして家族が分かれる瞬間に立ち会うたびに、心が痛むのも事実だ。真実が明らかになった今、亮子さんがどの道を選ぶのか、私たちは静かに見守るしかなかった。

下記調査事例は数多くの実話に基づくフィクションです。