探偵-福岡本社HP
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「まさかと思いました。しかし、おそらく間違いありません。あいつらが……」
探偵という仕事をしていると、依頼人である経営者、経営陣サイドの方々から、絞り出すようなこの言葉を耳にします。今回ご紹介するのは、ある日突然、社内から資材を持ち出している社員の存在を突きつけられた企業の実録です。
ターゲットにされたのは、昨今の金属価格高騰により「赤いゴールド」とも呼ばれる銅線リール。
建設現場や工場での窃盗被害が相次ぐ中、多くの企業が「外からの侵入」には目を光らせています。しかし、真に恐ろしいのは、防犯カメラの場所も、在庫管理のルールも、職員の配置もすべて熟知している「内部の人間」による犯行です。
これは単なる事件の記録ではありません。
もし、あなたの会社で「何かがおかしい」と違和感を持った時、会社と誠実な社員を守るために経営サイドが取るべき「最も正しく、最も慎重な戦い方」の教訓となるはずです。
深夜4時30分。暗視カメラが捉えたのは、日常の裏側に潜むあまりにも身勝手な裏切りの光景でした。
この事件の特筆すべき点は、発覚の経緯です。 ある日、一人の誠実な職員が社長の元へやってきました。
「実は……〇〇さんから、一緒に銅線を盗んで稼がないかと誘われました」
これは単なる噂話ではなく、犯罪の「勧誘」です。 銅(カッパー)は「赤いゴールド」と呼ばれるほど市場価値が安定しており、金属買取業者へ持ち込めば即座に現金化できます。
工事現場や工場で銅線が狙われるのは、いわば裏社会の「定番」ですが、それを社内の人間が、しかも仲間を募って組織的に行おうとしてました。
ここで社長が取った行動は、まさに100点満点でした。 怒りに任せて本人を問い詰めるのではなく、密告者にこう告げたのです。
「話してくれてありがとう。だが、このことは絶対に内緒にしておいてくれ。いつも通りに接してほしい」
この「いつも通り」が、後の決定的な証拠確保へと繋がります。
社長は即座に弁護士へ、そして弁護士を通じて当探偵事務所へと調査を依頼されました。




調査を開始してすぐに、彼らの手口が浮き彫りになりました。彼らは決して「その場の思いつき」で動いてはいませんでした。
犯行は、持ち出し当日ではなく「前日」から始まっています。 日中の作業中、彼らは防犯カメラの死角になる場所に、目当ての銅線リールをあらかじめ移動。さらに、ゴミや資材に見せかけるようカバーをかけて隠蔽していました。
決行は翌朝。
通常出勤より2時間半も早く、3人の男たちが現れました。
隠しておいた銅線を、1人が用意したトラック(兼業農家の職員が私用で持つ車両)に手際よく積み込みます。
そのまま現場を離れるのではなく、彼らは近くのファミレスへ移動。そこで朝食を摂りながら時間を潰し、何食わぬ顔で「通常の出勤時間」より少し早めに出勤したのです。
「朝早く来て、真面目に準備をしている職員」という仮面を被りながら、その実、荷台には盗品がカバーを架けて積まれている――。この卑劣な二面性が、カメラには鮮明に記録されていました。
当事務所が設置した特殊な暗視隠しカメラは、暗闇に紛れる彼らの姿を逃しませんでした。
その日の夕方。彼らは主犯の自宅で待ち合わせ、トラックを乗り換えて買取業者へ。 「銅線を下ろす姿」「現金を受け取る姿」「それをバッグに詰め込む姿」。 そして極めつけは、その金で再びファミレスに集まり、祝杯をあげるように食事をする3人の姿でした。
これらの映像は、単なる「紛失」ではなく、明確な**「不法領得の意思(自分のものにする意思)」**を示す、裁判でも覆せない一級の証拠となります。




証拠を揃え、警察へ被害届を提出。しかし、逮捕までには約3週間の時間を要しました。 依頼人にとっては長く、不安な時間だったはずです。しかし、これには捜査上の重要な理由があります。
慎重な捜査の結果、買取業者は潔白であり、職員のみの単独犯であることが立証されました。3週間後、早朝の静寂を破り、3人の職員に捜査の手が伸びました。




今回の事案が円満(法的解決)に至ったのは、依頼人が「感情」よりも「戦略」を優先したからです。
「怪しい」という理由だけで解雇や問い詰めを行えば、逆に不当解雇で訴えられるリスクすらあります。
社内に犯罪者がいる。その事実に目をつぶることは、会社を蝕む癌を放置することと同じです。 しかし、メスを入れるには「確実な証拠」が必要です。
もし、貴社の倉庫の在庫が合わない、あるいは不穏な噂を耳にしたのなら。 まずは静かに、私たちにご相談ください。
「調査は、静かに。決着は、確実に。」 それが、会社を守る唯一の方法です。
社内の資産が持ち出されていると分かったとき、経営者が直面する「5つの現実的な悩み」について、探偵の視点からお答えします。
A1. 絶対に避けてください。 性急な問い詰めは、犯人が「証拠を消す(スマホのデータ削除や転売ルートの隠蔽)」か「水面下に潜る(犯行を一時中断する)」きっかけを与えるだけです。まずは泳がせ、言い逃れのできない客観的な証拠(映像、日時、共犯関係)を固めることが、最終的な解雇や刑事告訴をスムーズにするための最短ルートです。
A2. 「厳重な処罰」を求める強い意思と、確実な証拠が不可欠です。 単に「物が減って困っている」という相談だけでは、警察は事件化しにくいのが現実です。私たちが作成する調査報告書や動画など物的証拠に基づき、加害者として所轄の警察署へ厳正な処罰を求める意思を明確に示しつつ被害届を提出することが重要です。
A3. 弁護士を通じた損害賠償請求(不当利得返還請求)が必要です。 刑事罰とは別に、会社が被った損害(盗まれた物の代金や調査費用など)については民事で請求します。刑事手続きが進んでいる最中に弁護士が介入することで、犯人側が「刑を軽くするために示談したい」と申し出てくるケースが多く、その際に返還交渉を有利に進めることが可能です。
A4. 独断でストップせず、適宜「供託」などの法的措置を検討してください。 たとえ泥棒であっても、労働の対価としての給与を会社が勝手に止めることは労働基準法違反になるリスクがあります。状況に応じて、支払うべき給与を法務局に**「弁済供託」**するか、弁護士を通じて損害賠償金と相殺する合意を取り付けるなど、法的な手順を踏む必要があります。ここでのミスが後に命取りになるため、必ず専門家にご相談ください。
A5. 状況によりますが、「盗品等関与罪」に問える可能性があります。 業者が盗品であることを知りながら、あるいは通常ではありえない低価格や不自然な持ち込み方法を見過ごして買い取っていた場合、法的な責任を問えるケースがあります。警察の捜査と連携し、業者の帳簿や取引実態を洗うことが、転売ルートの根絶には不可欠です。
探偵のアドバイス: 会社という組織を守るためには、「感情」で動かず「法」と「証拠」で動くこと。それが、二度と同じ過ちを繰り返させないための最大の防御策です。

