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こんにちは。帝国法務調査室の大塚です。
不倫調査の報告を終えたあと、ご依頼者様からよく聞かれることがあります。
「証拠は揃いました。弁護士を立てて、不倫相手に慰謝料を請求したいと思います。……どう思われますか」
是非で言えば、正当な権利行使です。やればいい。
ただし、私が本当にお伝えしたいのはその先です。あなたが行動を起こした瞬間から、夫の嘘は「次の段階」に進化します。 今日はその話をします。


長年この仕事をやっていると、不貞夫の嘘には明確な「時系列」があることが分かります。
残業、出張、接待ゴルフ。定番です。本人はうまくやっているつもりですが、この段階の嘘は雑です。バレていないという油断があるからです。
妻の様子がおかしいと察知すると、嘘は精密になります。アリバイに裏付けらしきものを添え、スマホの管理が急に厳重になる。「疑うなんて悲しい」と、逆に妻を責める演出も入ってきます。
証拠を突きつけられると、今度は「矮小化」の嘘です。一度だけだ、体の関係はない、もう終わっている。ここまでは、皆さんもある程度想像がつくでしょう。
問題は、ここからです。
不倫がバレて、妻が慰謝料請求や相手方への連絡という「実際の行動」に出た。もう言い逃れの余地はない。普通の感覚なら、ここで嘘は終わると思うでしょう。
終わりません。むしろここからが本番です。よくもまあ考えるものだと、そのあたりの頭脳だけは明晰だね(嫌味です)と感心するほどにです。


ここ数年の事例から、実際にあった言い訳をご紹介します。いずれもW不倫、つまり夫も相手の女性も既婚というケースです。
妻が相手の女性に連絡を取り、実際に会った。それでも関係が終わらない。ならばと妻が「相手のご主人に事実を伝える」と言い出した。すでに行動された方もいます。
すると夫は、それだけは阻止しようと、こう言うのです。
「彼女の方もバレている。彼女は旦那に全部自白した。それに彼女夫婦はもう家庭内別居で、離婚の話になっている。今さらお前が言っても意味がない」
「彼女夫婦は離婚寸前だ。彼女も離婚したがっているし、あっちの旦那もそのつもりでいる。そんなときにお前が不倫のことを言ってみろ。あっちの旦那はここぞとばかりに多額の金を請求してくるぞ。俺の方がいっぱい払うことになる。……お前、俺をおとしめる気か?」
「相手の旦那にバレた。呼び出されて、会ってきた。だからもうこれ以上波風を立てないでくれ。そんなことをしたらあっちは離婚になって、彼女は俺を頼ってきて離れなくなるぞ。俺は別れるつもりでいるのに……そうなったら、お前のせいだ」
どうでしょうか。
三つとも構造は同じです。「あなたが動くと、あなた自身が損をする」という形に、話をすり替えている。 策略の臭いを感じるのは、私だけでしょうか。
そして結論から言います。この方々の話、全部嘘でした。


真顔で、淡々と言われると、人は信じてしまうものです。
実際、ご相談者様からも「夫がこう言ってきたのですが……どうも本当っぽいのです」というご連絡を何度もいただきます。私はこれまでの経緯と調査結果から「それは嘘ですよ」とお伝えするのですが、ご不安になるお気持ちはよく分かります。
しかし、最後の最後まで信じてはなりません。この状況に追い込まれた夫の言動は、当てにならないのです。
「では、相手の女性の口からも同じ話が出てきたら?」
それでもNOです。昨年、それがはっきり立証された事例がありました。
夫は「彼女夫婦は離婚寸前」と言い張っていた。ところが調査の過程で判明した相手のご主人の言葉は、こうでした。
「疑ってはいましたが、まさか妻が……。でも、僕は離婚なんてしませんよ」
離婚寸前どころか、あちらのご主人は関係修復を望んでいた。夫の語った「あっちの夫婦の状況」は、一体どこから出てきた話だったのか。妻になら嘘が通る、とまだ思っているのです。
もうひとつ、W不倫特有の現象をお話しします。
相手の女性の夫にも不倫が発覚した場合、彼女は加害者であるはずなのに、いつの間にか「被害者」の立場に滑り込みます。離婚問題が浮上して危機に陥った、可哀そうな妻。その役を演じ始めるのです。
しかし実態は、不貞をはたらいた側の妻です。それを、うちの依頼者の夫が「彼女が可哀そうだ、俺が守らなければ」と。冷静に考えれば倒錯としか言いようがないのですが、渦中の本人には見えていません。
しかも面白いことに——いや、笑っている場合ではないのですが——不貞夫と相手の女性の間でも、嘘と建て前が交差しているのです。女性の側だって、夫(うちの依頼者の夫、という意味です)に100%真実を語っているとは限らない。お互いに都合のいい物語を語り合い、勘違いの上に関係が乗っている。だから昨年も、外圧を受けた途端にぶっ壊れた二人が多かったのですよね。
「大丈夫です、ご主人は戻ってきますから」——この言葉を、私は何人のご依頼者様に言ったことか。
さて、ここからは読み物ではなく、実際に渦中にいる方のための判断材料です。夫が「相手夫婦の状況」を語り始めたとき、以下の基準で仕分けてください。


「彼女は旦那に自白した」「あっちは家庭内別居だ」——これらはすべて、あなたが直接確認できない情報です。情報源は不倫の継続に利害を持つ夫本人。刑事事件で言えば、被告人の単独証言だけで事実認定するようなものです。検証できない話は「真偽不明」の箱に入れて、判断の根拠から外してください。
第4段階の嘘に共通するのは、妻の行動を止めることが目的だという点です。「言えば多額請求される」「彼女が俺を頼ってくる」——結論がすべて「だからお前は動くな」に着地する話は、内容以前に構造で疑ってかかるべきです。
夫の脅し文句は、法的な相場観と照らすと崩れることが多い。
相手夫婦の実態を知りたいなら、方法は夫に聞くことではありません。事実は調査で、法的な見通しは弁護士への相談で確認する。この二つのルートだけが、利害関係者のフィルターを通らない情報です。
ちなみに、司法統計を見ても、離婚調停の申立て動機として「異性関係」は男女ともに上位に入る定番の離婚事由です。つまり、あなたのケースは特殊でも恥ずかしいことでもなく、確立された対処のルートが存在する類型だということです。


結論:鵜呑みにしてはいけません。 W不倫では確かに相手のご主人からあなたの夫への請求はあり得ますが、慰謝料は個別事情で決まるものの、一般的な相場は50万円〜300万円程度であり、青天井ではありません。また双方に請求権がある関係では、求償権を含めた全体設計(民法709条・719条)が可能です。夫の「損得の脅し」ではなく、弁護士の試算で判断してください。
結論:判断材料にしないでください。 その情報の出所は、不倫の当事者である夫、またはその夫に都合のいい話をしている可能性のある相手女性です。当調査室の事例では、「離婚寸前」と説明されていた相手のご主人が、実際には「離婚するつもりはない」と明言していたケースもあります。検証不能な相手夫婦の内情は、あなたの意思決定の根拠にすべきではありません。
結論:おおむね50万円〜300万円が目安です。 不倫が原因で離婚する場合は100万円以上の高額になる傾向があり、婚姻関係を継続する場合は50万〜100万円程度に収まるケースが多いとされています。不貞行為の期間・回数、婚姻期間、子の有無などで増減します。金額の最大化には、不貞行為を立証できる証拠の質が直結します。
結論:伝え方次第です。 事実を冷静に伝えること自体が直ちに違法になるわけではありませんが、感情的な表現や執拗な連絡は名誉毀損・脅迫と受け取られるリスクがあります。また、伝えるタイミングは慰謝料交渉全体の戦略に影響します。単独で動く前に、証拠を確保した上で弁護士に相談することを強くお勧めします。
結論:お勧めしません。 問い詰めた瞬間から夫は「第2段階の嘘」に移行し、証拠隠滅と警戒が始まります。裁判や交渉で通用する証拠(不貞行為を推認させる客観的資料)を先に確保することが、結果的に慰謝料額にもあなたの選択肢の広さにも直結します。
嘘と化かし合いと勘違いの不倫者たちを、私は星の数ほど見てきました。
最後の最後まで妻を嘘で固めようとする不貞夫。そして、その嘘の目的はただ一つ——あなたの足を止めることです。
足を止めるかどうかを決めるのは、夫の言葉ではなく、事実と証拠であるべきです。事実の確認は、私たちの仕事です。