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こんにちは。「帝国法務調査室」相談員の大塚律子です。
新緑のまぶしい季節になりましたね。
ゴールデンウィークの賑やかさも落ち着いて、ようやく日常のリズムが戻ってきた、という方も多いのではないでしょうか。
日傘はずいぶん前から出していましたが、今年はもう、ハンディファンも仲間入りさせたい陽気です。冷たい飲み物がうれしい季節になりました。
さて。
本日のお話は、こんな一言から始めさせてください。
夫がムッとした顔で一言――「昼なんだから、好きなように行かせてくれよ」
このセリフ、言わなきゃならないシチュエーション自体が、「奥様の勘が、もう当たりはじめている」という合図です。
妻は、やましいことが何もないご夫へなら、好きな事だってさせてあげたいし、わざわざ嫌な言い方はしません。「また行くの?」なんて尋ね、それとなく怪しい夫を止めようとする必要が無いんです。
夫だって、好きにさせて欲しいなんて、妻に対しわざわざ言い返したり、予防線を張る必要もありません。
このセリフが出てくるのは、妻の心配が言葉に乗って出た。そして夫の中に、「触れられたくない領域」が、すでに存在している。
それが顕著化したのです。


子どもがやっと独立して、住宅ローンの目処もついて、ご主人の定年も見え始めた頃。
「これからは、ようやく夫婦二人でのんびり過ごせるね」
そう思っていた矢先に、突きつけられる夫の裏切り。
私たちは、こうしたご相談をよくお受けします。
そして、これは決して特別な話じゃないんです。
ある探偵業界のデータでは、浮気調査の依頼者のうち、50代・60代が3分の1近くを占めているといいます。
直近の厚生労働省の人口動態統計を見ても、同居20年以上の「熟年離婚」は、約3万9千件。離婚全体の23.5%と、過去最高を更新しました。
つまり今は、4組に1組近くが「熟年で別れていく」時代。
そして、その隠れ蓑になっているケースが――まさに本日のテーマ、『趣味を盾にした不倫』なのです。
20代、30代の不倫は、わかりやすいんです。
出張、残業、ホテル泊、深夜のLINE、明らかに怪しい。
ところが60代の不倫は、ちょっと違います。
派手さがない。慌ただしさもない。
それゆえに――発覚しにくい。
なぜか。
彼らは“恋愛”を仕掛けるのが上手なのではなく、
「安心して会える環境」を作るのが、抜群にうまい。
性欲も、それほどではありませんから。(だから少々たちが悪い面もある。)
その“会い方”も、地味そのものです。
派手さがない分、本人たちに、こんな言い訳を許してしまうんですね。
「これは、絶対に不倫じゃない」
「ただ気の合う仲間ってだけだ」
罪悪感の輪郭が、年齢とともに、じわじわぼやけていく。
これが、60代不倫のいちばん厄介な特徴です。
過去の事例を、ひとつご紹介させてください。
ご相談くださったのはМさん、60代の女性です。
ご主人は同世代。定年後に始めた登山同好会で、ある女性と親しくなりました。
最初は、ご本人いわく「気の合う仲間の一人」。
それが、少しずつ、しかし確実に、特別な存在へと変わっていったのです。


Мさんが最初に気づいた違和感は、本当にささやかなものでした。
そのうち、外出の口実が、ぽつりぽつりと増えていきます。
「今日は定例会」
「仲間との打ち上げ」
「次の登山の打ち合わせがあって」
最初は「老後の趣味ができてよかった」と思っていたМさん。
でも心のどこかが、いつの日からか、ざわつく日があるようになったんです。
派手な証拠は、何もありません。
夜遅くに帰ってくるわけでもない。出張があるわけでもない。
ただ、いつもより少しだけ、何かがズレている。
「気にしすぎかしら」
そう自分に言い聞かせては、また気になって眠れない。
そんな日々が続いて、Мさんはようやく、私たち探偵のもとへご相談にいらっしゃいました。
はじめはお電話でした。お話しする中で、隣町のファミレスでお会いする事に。
Mさん、とても綺麗な若々しい笑顔の素敵な奥様でした。
Mさん「決定的なものは無いんですけれど、どうしても胸騒ぎが消えなくて。
主人を疑うなんて、自分でもどうかしていると思うんです。でも……」
最初にいらしたとき、Мさんはずっと、そう繰り返していました。
いま振り返れば、あの胸騒ぎは、最初から最後まで、ひとつも間違っていなかったのです。


「次の打ち合わせで集まるから」――。
ご主人がそう言って出かけた日、私たちは浮気調査を実行しました。
その日、ご主人は確かに、同好会のメンバーと集まっていました。
ただ、打ち合わせは思いのほか短時間で終わります。
解散後――ご主人は仲間と別れたあと、少し離れた場所で、例の女性と合流。
彼女の車に乗り換え、向かった先は、ラブホテルでした。
アウトーーーー! ですね。
証拠も、しっかり確保です。
ちなみに帰宅後のご主人は、「かなり上機嫌でした」とのこと。
Мさんは、そのときの上機嫌な顔を見て、覚悟を決めたそうです。
数日後。
Мさんは証拠を背景に、ご主人と向き合いました。友人がたまたま見ていたとして。
ラブホテルと彼女の名前が奥様の口から出た瞬間、ご主人の顔から、すうっと血の気が引いたそうです。
最初こそ「何かの間違いだ」と言いかけたものの、写真の枚数と、時間と、場所と――。
反論できる材料は、ひとつもなかった。
ご主人はその場で、顔を青ざめさせたまま、頭を下げました。
「もう会わない」
「同好会も辞める」
「家庭を壊したくない」
涙を浮かべながら謝るご主人の姿に、Мさんはひとまず胸をなでおろします。
「あの人も、ちゃんと反省してくれた」――そう信じたかったのだと思います。
ところが――数週間後、ご主人の態度は、一変するんです。
「個人的に会ってるわけじゃないだろ」
「同好会の仲間なんだから」
「趣味まで取り上げるのか」
「俺を縛り付ける気か」
「詮索するな。自由にさせてくれ」
まるで、自分のほうが被害者であるかのように怒り出す。報告書を突き付けるのは最後の最後、弁護士さんとの最後の戦い時のため、決定打として取っておきたい故の口撃に抑えたものでした。
さてさて、頭を下げたあの夜は、いったい何だったのか。
そしてとうとう、再び「次の打ち合わせがある」と言って、出かけていくようになりました。
――結局、関係は、何ひとつ終わっていなかったのです。
理由は、ご主人の言い訳の強さだけではありません。
本当に厄介なのは、奥様の側に“矛盾”が生まれてしまうことなんです。
考えてみてください。
ただの不倫なら、話はシンプルです。
「あの女と別れて」――それだけで済む。
ところが、相手と知り合ったのが「登山仲間」という、健康的な趣味の場だったとしたら、どうでしょう。
奥様の心の中に、こんな声が生まれてしまわなくもありません。
「不倫は、絶対に終わらせたい」
「でも、せっかくできた趣味まで、取り上げるのは可哀想」
「老後の生きがいまで奪うなんて、私だってしたくない」
不純な関係の入口に、爽やかな趣味が一枚かぶさっている。
そのことで、奥様の優しさが、かえって関係の断ち切りを難しくしてしまう。
ご主人にとって、登山同好会は「不倫相手と出会った場所」であり、いまも「異性と自然にふれあえる場」。
そして、世間から見れば、「健康的な趣味」「老後の生きがい」。
でも、奥様からすれば不倫の温床でしかない。
かと言って「行ってほしくない」と言えば、たちまち「奥さんのほうが心が狭い」という構図が完成してしまう。
つまり――。
“趣味”という一枚の覆いが、奥様の優しさと世間体の両方を巻き込んで、女との関係を細く長く生き延びさせてしまう。
ここが、60代の趣味不倫の、いちばん終わりにくい正体なのです。
この年代でとくに多いのが、こんな“共通の趣味”を入口にした関係です。
趣味としては、とーーーっても健全なんです。
これらに共通するのは、「家庭では絶対に味わえない時間」だということ。
ときめき。承認。役割の外に出る、解放感。
家庭で「お父さん」「定年退職した夫」としてしか扱われない男性にとって、
そこは“もう一度、男としての自分に戻れる場所”なのです。


なぜ60代になっても、不倫をするのか。
そこには、若い世代には見えにくい、“老いへの焦り”も1つあります。
会社での肩書きが消える。
若さも、視力も、体力も、確実に落ちていく。
家庭では「夫」「父親」――役割としてしか扱われない。
そんな中で、女性から好意を向けられる。
ふとした瞬間に目が合う。趣味の話で笑い合う。
それだけで、彼らはこう感じてしまうんです。
『残りの少ない人生を、どう生きるか――』
その問いの行き先が、
なぜか、良からぬ方向に転がってしまう。
「まだ俺はいける」
「まだ男として、価値がある」
つまり彼らにとって、不倫相手との時間は“恋愛”でも無い。
もっと短絡的な、残りの人生への焦りだったりする。
しかも、相手の女性側もしばしば、同じ気持ちを抱えています。
「いつまでも女でいたい」「枯れてしまいたくない」――。
お互いの承認欲求が、ぴたりと噛み合ってしまう。
だから関係は、若い世代以上にしぶとく続いてしまうのです。
ここが、60代不倫の、もっとも残酷な部分です。
ご主人は、必ずしも奥様を嫌いになったわけではない。
むしろ、心の中ではこう分けているんです。
※ 奥様=家族・安心・老後・介護してくれる人
※ 外の女=恋愛・刺激・承認・若さ
だから、平気で奥様にこう言える。
「最後は、お前と暮らしたいと思ってる」
酷いものです。


外で恋愛気分を味わいながら、家ではしれっと、あたり前に日々の生活を送り続ける。
支離滅裂に見えますが、本人の中では、まったく矛盾していない。
長年連れ添った夫婦関係や家族とその幸せは、資産のように絶対に失いたくない。
とにかく利己的で、わがままで、身勝手でしかありません。
老後の生活、世間体、病気のとき、介護のとき――。
だから、奥様には絶対にそばにいてほしい。
その一方で、“男として見られる刺激”も、手放したくはない。
つまり、「両方欲しい」のです。
こういうご主人は、本当に、少なくありません。
土曜日は奥様と買い物に行って、“いい夫”を演じる。
日曜日は「同好会」と称して、別の顔で出かけていく。
本人はきっと、自分なりにバランスを取っているつもりなのでしょう。
「家庭も大事にしている」
「最低限のことは、ちゃんとやっている」
でも、その裏で、奥様の心は確実に削られていきます。
さらに厄介なのは――彼らの多くが、「相手と再婚したい」とまでは思っていないことです。
本気で人生をやり直したいわけじゃない。
ただ、
「元気なうちは、楽しみたい」
「寂しさを、誰かで埋めたい」
「男として、見ていてほしい」
その欲求に、流されているだけ。
そして心のどこかで、「奥さんは、離れていかない」と、甘えている。
60代、さらには70代になれば、男性の異性への執着は、自然に薄れていくのではないか。
そう信じたくなる気持ちは、よくわかります。
けれども、現実はその逆です。
老いを意識する年代だからこそ、「まだ男でいたい」という感情が強くなり、しがみつく。
それが、定年後にぽっかり空いた時間と、出会いの場(=趣味の集まり)と組み合わさったとき、
不倫は驚くほど簡単に芽吹き、そしてしぶとく、根を張ります。
「そのうち目を覚ますはず」
「年齢的に、自然に終わるだろう」
そう期待し続けるのは、いちばん危ない選択です。
もちろん、本気で関係を断ち切るご主人もいます。
ですが、“趣味”という逃げ道が残っている限り、
不倫は形を変えながら、姿を変えながら、続いていくケースが少なくないのです。
まず必要なのは、自分の老後を守るための「数字の把握」です。
「夫が、こんなことをしなければ……」と嘆いても、現実は1ミリも動きません。
動かせるのは、ご自身の手元の情報と、準備だけです。
責め続けても、不倫夫は開き直るだけ。
本当に必要なのは、感情ではなく、淡々とした準備です。
これらが揃ったとき、初めて話し合いの“天秤”が水平になります。
証拠は、戦うための武器ではありません。「自分が選べるようになるための、土台」です。
そして、いちばん大切なのは、ここです。
「夫がどうであれ、私は私の人生を生きる」
――この一文を、心のどこかに置けるかどうか。
ご主人を変えることは、不可能に近いもの。
でも、ご自身の捉え方と、ご自身の時間の使い方は、いつでも変えられます。
ご主人の機嫌に振り回され、行動に一喜一憂し、奥様の心まで壊してしまう必要は、どこにもありません。
そして一度、静かに立ち止まって、こう問いかけてみてほしいのです。
「私のこれからの人生に、この人は、本当に必要ですか?」
そのためにも経済的な不安の無いよう準備を始めなければなりません。


老後は、“誰と生きるか”以上に、“どんな気持ちで毎日を過ごせるか”が、大切になります。
ご主人を支え続ける人生。
自分を守る人生。
その両方を天秤にかけながら、これからを選んでいく。
それは、誰かに決めてもらうことではなく、奥様ご自身が決めていいことです。
感情だけで動けば、相手に振り回され続けてしまう。
でも、証拠という“現実”を手にしたとき、Мさんには「選ぶ力」が、ちゃんと戻ってきました。
許す。距離を置く。再構築する。離婚する。
――どれが正解、ということはありません。
大切なのは、ただひとつ。「自分が納得できる選択かどうか」です。
ご主人中心で苦しみ続けるのではなく、どうか、奥様ご自身の人生も大切にしてください。
Мさんのこれからを、私たちは心から応援しています。
ご夫婦の問題でお悩みの方は、いつでもご相談ください。
「これは不倫だろうか」「気のせいだろうか」――その違和感こそ、いちばん最初の証拠です。
お話を伺うところから、私たちは、お力になれればと思っております。
結論から申し上げると、以下の5つの変化が複数当てはまる場合、注意が必要です。
帝国法務調査室の相談現場では、50代~60代のご相談者の多くが「決定的な証拠はないけれど胸騒ぎがする」という状態でご来訪されます。実際、後日の調査でその違和感が裏付けられるケースが大半です。
長年連れ添った奥様の直感は、統計的にも信頼性が高い情報源です。気のせいで済ませず、変化を時系列でメモしておくことをおすすめします。
60代の不倫は、若い世代と比べて「派手さがなく、発覚しにくい」のが最大の特徴です。
具体的な違いを表にまとめると以下のとおりです。
| 項目 | 20〜30代の不倫 | 60代の不倫 |
|---|---|---|
| 会う頻度 | 週に複数回も | 月に数回程度 |
| 会う時間 | 夜・深夜・宿泊 | 昼間中心 |
| 場所 | ホテル・夜の街 | ファミレス・車内 |
| 連絡 | 頻繁・露骨 | 控えめ・隠蔽が上手 |
| きっかけ | 職場・SNS | 趣味の集まり・同好会 |
| 性的接触 | 多い | 減少傾向 |
60代不倫は、性欲よりも「承認欲求」「孤独の埋め合わせ」「老いへの抵抗」が動機の中心になります。
そのため本人たちには「この程度は不倫ではない」「ただの気の合う仲間だ」という言い訳が成立しやすく、関係が長期化しやすい構造になっています。
いいえ、自然には終わらないケースが多数です。
厚生労働省の人口動態統計によると、2022年の同居期間20年以上の離婚件数は約3万9千件で、離婚全体の23.5%を占めています。これは過去最高の割合で、熟年期の夫婦問題が「年齢とともに収束する」とは言えない現実を示しています。
また、調査の現場で見ても、60代・70代になっても異性への執着が消えない男性は珍しくありません。理由は次の3点です。
「待っていれば終わる」という期待で時間を費やすより、客観的な現状把握を優先することをおすすめします。
その通りで、「趣味の場で知り合った」「親しい仲間である」という事実だけでは、法的な不貞行為の証拠にはなりません。
民法第770条第1項第1号で離婚事由として認められる「不貞行為」は、原則として肉体関係の存在が要件です。慰謝料請求や離婚協議で有効になる証拠は、以下のようなものです。
なお、ご家族による尾行は、相手にバレるリスクが高く、証拠としての信用性も低くなります。また、相手の感情を刺激して証拠隠滅を招く可能性もあるため、専門の調査機関への依頼が確実です。
帝国法務調査室は探偵業法に基づく届出済み事業者であり、報告書は裁判でも証拠採用された実績があります。
離婚すべきかどうかに、唯一の正解はありません。「許す」「距離を置く」「再構築する」「離婚する」、どの選択も合理的です。
ただし、後悔のない判断のために、以下の3点は事前に確認しておくことをおすすめします。
「証拠は戦うための武器」ではなく「ご自身が選べるようになるための土台」です。
判断を急がず、まずは事実を正確に把握することから始めてください。